竜馬がゆく 竜馬から学んだ7つのこと

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んだ。

読みはじめは去年の11月頃だったか、NHKのドラマが始まるとのことでそれに間に合わそうと思ったのだが、かれこれ今に至ってしまった。

 

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ

 

この本を読んで学んだこと

 

1 一流になること

まず、龍馬活躍のスタートは北辰一刀流免許皆伝。剣術で全国に名を知らしめたということ。これがなければ龍馬が歴史の舞台に出ることはなかったでしょう。ひとつの分野を極めることの重要性を学ぶ。今で言うと剣術にレバレッジをかけるということ。

 

2 良き師をもつこと

龍馬も初めは他の志士たちと同じくただの攘夷論者だったのだが、勝海舟という師に出会いすっかり感化され開国・倒幕思想へと180度転換する。その後勝海舟にかわいがられ航海術も学ぶことになる。勝海舟という人物により歴史の舞台へ連れ出されたとも言えるのではないかな。良き師を得ると人生も開けるということ。

 

3 パワーシフトを見抜く力

多くの同士が天誅の血に酔っているときに、この天才的な剣客は、航海術に熱中していた。一見道草を食っている駄馬に見えた。龍馬が活動を開始するに至るのは、30を超えてからのことである。

黒船に度肝を抜かれてからは龍馬は船にあこがれを抱く。当時の志士たちは誰もが剣をもってのみ事を成せるのだと信じて疑わなかった。しかし彼は他の志士たちに笑われながらも粛々と航海術を学んで私設艦隊をつくり、もって事を成そうとした。どちらが正しかったのかは歴史が証明するところ。時代のパワーシフトを見抜きひとに笑われようと自分の信ずる道をいくことの重要さ。

 

ここで龍馬語録をひとつ。

「世の中の 人は何とも言わば言え

我がなすること 我のみぞ知る」

 

4 フットワークは軽く

諸事、この眼で見ねばわからぬ というのが勝と龍馬の行き方

現場を見たうえ、物事を考える。見もせぬことをつべこべ言っているのはいかに理屈が面白くても空論にすぎぬ

…龍馬は異常な取材能力をもっていた。これが特技であった。自然、かれはいわゆる志士のなかでは抜群の国際外交通であった。

幕末、龍馬は文字通り日本中を駆け回る。人を使ったり伝聞によって判断するのではなく己の足で行動して情勢を判断し、直接会いに行き要人を口説きおとす。フットワークを軽くし自分の五感を信じて行動することの大切さ。

 

5 ものには時機がある

人が事を成すには天の力を借りねばならぬ。天とは、時勢。時運ともいう。時勢、時運という馬に乗って事を進めるときは、大事は一気呵成に成る。その天を洞察するのが、大事を成さんとする者の第一の心掛け。

また大政奉還をなすときも

ものには時機がある。この案を数ヶ月前に投ずれば世の嘲笑を買うだけだろうし、また数カ月後に提げて出ればもはやそこは砲煙の中でなにもかも後の祭りになる。

素晴らしい案があったとしてもそれが達成されるには大抵様々な条件が必要とされる。自力だけでなく多くの他力を必要とするだろう。

逆に今まで到底不可能と思われていたことがこの混沌とした大変革期だからこそできることがあるかもしれない。タイミングをみて行動することの重要さ。

 

6 理と利

…政治問題がむずかしければまず経済でその利を説く。

…論などはやらぬ。利が、世の中を動かしている。

…薩長連合ひとつにしても、主義をもって手を握らせるのではなく、実利をもって握手させようというのである。ひどく現実的なのである。

どんなに論理的に説明しても人はなかなか動かない。それよりも実利を提示した方が人は動く。経済原理というやつ。決して対立する概念ではないが統合されてこそ人を動かす大きな原動力となる。

 

7 思い上がり力

…世に生を得るは事を成すにあり

…ひろい日本におれだけしか天下の騒乱をおさめる者がいない、というような気になっている。

…おれがいなければ日本が潰れる。そうとでも思い上がっていねばこうは飛びまわれん。勝先生も西郷も桂もそう思っているようだ。

リーダー不在といわれる昨今、あらゆる局面においてこの問題を解決するのはおれしかいないのだ、おれがやらねば誰がやると思い上がるくらいが丁度いいのだろう。傍観するのではなく自己責任で行動することの大切さ。

 

事の成るならぬは、それを言う人間による

薩長連合というのは龍馬の独創的構想ではなく、すでに薩長以外の志士たちの間での常識になっていた。しかし所詮は机上の空論。

龍馬という若者は、その難事を最後の段階ではただひとりで担当した。

これは著者の見解で、つまり竜馬だからこそこの偉業を成し得たということなのだが、司馬遼太郎の描く龍馬像が英雄史観といわれるところだろう。

折しも2/12の週刊金曜日では竜馬熱に待ったをかける記事があった。

 

竜馬を英雄視する小説だというのは理解しつつも純粋に歴史小説として多くのヒントを得た。時代が幕末と相似しているといわれる現代、読んでいる数カ月間は自分が幕末に生きているような不思議な感覚で、今自分が抱えている諸問題を幕末の龍馬であればどのように解決するだろうかなどと妄想したりする時間が結構楽しかった。

 

龍馬語録のおまけ

…おれは日本を生まれ変わらせたかっただけで、生まれ変わった日本で栄達するつもりはない。こういう心境でなければ大事業というものはできない。

…仕事というものは全部をやってはいけない。八分まででいい。八分までが困難の道である。あとの二分は誰でもできる。その二分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。そうでなければ大事業というものはできない。

 

幕末へtripしたい人は是非どうぞ。

 

[amazonjs asin=”4167105675″ locale=”JP” title=”竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)”]

コメント

タイトルとURLをコピーしました