
- 作者: 寺島実郎
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/12/16
- メディア: 新書
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グローバルコリアンは世界を知る力を養わなくてはならない。まさにピンポイントの本。
「大中華圏」という概念、「ユニオンジャックの矢」はあまりにも衝撃的だった。
大中華圏とは、中国、台湾、香港、シンガポール。アジアで重要な位置を占めるこれらの国・地域は6000万人といわれる華僑を媒介としたネットワークでつながっているということ。この広義のChinaを大中華圏(grater China)という。
次にユニオンジャックの矢。
ロンドンから、ドバイ、インドのバンガロール、シンガポール、オーストラリアのシドニー。いずれもかつて大英帝国の支配下にあったイギリス連邦の主要都市なのだが、これらを地図上で結んでいくとほぼ一直線に繋がってしまう。これはまったくの偶然ではなく戦略的にネットワークとして機能している。さらに大中華圏とユニオンジャックの矢というふたつのネットワークが交差する一大中継点。シンガポール。
シンガポールといえば面積も小さくマーライオンくらいしか印象がないが、今や金融資本が集積するアジアの金融センターではないか。
この本を読むと世界観が一段階広がること請け合いです。
そして最後に強烈なキーワード、「マージナルマン」。
境界人。複数の系の境界に立つ行き方という意味。ひとつの足を帰属する企業・組織におき、そこでの役割を心を込めて果たしつつ、一方で組織に埋没することなく、もうひとつの足を社会に置き、世界のあり方や社会の中での自分の役割を見つめるという生き方、それをマージナルマンという。
グローバルコリアンとして生きていく上での重要なキーワードとしていただきます。
日本社会と在日社会の境界に生きる我々在日コリアンは生まれながらにマージナルマンといえよう。
意識するしないとにかかわらず。
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